じーん栄養講座

【腸内環境セミナー①】腸の不調を根本から理解する〜第二の脳と呼ばれる腸の真実〜

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はじめに

「食べていないのに痩せない」
「お腹の調子がいつも悪い」
そんなお悩みはありませんか?

実は、腸は単なる消化器官ではなく、
私たちの健康を支える非常に重要な臓器なのです。
英語では「The Second Brain(第二の脳)」と呼ばれるほど、体全体に強い影響を与えています。

今回は、腸の働きと不調の原因を根本から理解し、日々のケアで心と体をどのように整えていくかをお伝えします。

1. 腸の4つの主要機能

① 消化・吸収

皆さんがよくご存知の機能ですが、食べたものを分解して栄養素として体に取り込む働きです。ここで重要なのは、どんなに良い食事をしても、腸の機能が低下していると栄養にならないということです。

② 免疫機能

驚くことに、私たちの体内にある免疫細胞の約70%が腸に集中しています。つまり、腸は体を守る免疫の司令塔のような役割を果たしているのです。風邪をひきやすい、アレルギーがあるという方は、腸の状態が関係している可能性があります。

③ 腸内細菌との共生

私たちの腸の中には約1,000種類、100兆個以上もの細菌が住んでいます。これを「腸内フローラ(腸内細菌叢)」と呼びます。この腸内細菌は、食べ物を発酵させたり、ビタミンを作ったり、免疫を調整したりと、様々な役割を担っています。

④ 脳との連携

近年とても注目されているのが、腸と脳の関係性です。腸は自律神経やホルモン、さらには神経伝達物質を通じて脳と密接に連携しています。この関係性を「腸脳相関(ガットブレイン)」と言います。緊張した時にお腹が痛くなるのも、この腸と脳のつながりによるものです。

2. 腸の構造と機能の違い

小腸:栄養吸収と免疫の最前線

  • 長さ:約6メートル(体内で最も長い器官)
  • 主な働き:栄養素の約90%を吸収
  • 特徴
    • 内側には絨毛という細かい突起が並び、表面積を広くしている
    • パイエル板という免疫組織があり、異物を監視
    • 上皮細胞のターンオーバーが早く(2〜4日)、常に新しい状態を保つ

大腸:水分吸収と腸内細菌の住処

  • 長さ:約1.5メートル
  • 主な働き:水分の吸収と便の形成
  • 特徴
    • 腸内細菌の99%が大腸に生息
    • 食物繊維を発酵させて短鎖脂肪酸を産生
    • 腸内環境の改善や免疫調整に重要な役割

3. 腸内細菌の世界

腸内細菌の3つのタイプ

① 善玉菌

  • 代表例:乳酸菌、ビフィズス菌
  • 働き:腸内環境を良好に保ち、免疫力を高める

② 悪玉菌

  • 代表例:大腸菌の一部、ウェルシュ菌
  • 働き:過剰に増えると有害物質を産生し、腸内環境を悪化させる
  • 重要:完全にいなくなるのも問題。バランスが大切

③ 日和見菌

  • 働き:善玉菌が優勢な時はおとなしく、悪玉菌が増えると悪影響を及ぼす

理想的なバランス:善玉菌2:悪玉菌1:日和見菌7

腸内細菌の4つの重要な働き

① 免疫の調整

IgA(免疫グロブリンA)という免疫物質の産生を促し、炎症を抑える物質を分泌して体を守ります。

② 代謝産物の産生

食物繊維を発酵して短鎖脂肪酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸)を産生。これらは:

  • 腸のエネルギー源となる
  • GLP-1やPYYなどのホルモン分泌を促進
  • 食欲抑制や血糖安定化に寄与
  • 腸のバリア機能を強化

③ 腸管バリアの強化

腸の上皮細胞同士をつなぐタイトジャンクション(細胞間の結合構造)を維持し、有害物質の侵入を防ぎます。

④ 病原菌の抑制

善玉菌が腸内を占有することで、有害な菌が住みにくい環境を作り、感染症の予防につながります。

4. 腸の不調が起こる根本原因

2つの根本的要因

① 腸のバリア機能の低下

タイトジャンクション(細胞間の結合)が緩むことで、未消化の食べ物や毒素、細菌などが腸壁を通り抜けて血液中に入ってしまう状態。これを「リーキーガット(腸漏れ)」と呼びます。

② 腸内細菌バランスの崩れ

善玉菌、悪玉菌、日和見菌のバランスが崩れることで、発酵や代謝のバランスが乱れ、ガスが溜まりやすくなったり、炎症を起こしやすくなります。

具体的な要因

① 加齢

  • 腸の上皮細胞の再生力が低下
  • 消化酵素が減少し、食べ物が分解しづらくなる
  • 腸内細菌の種類やバランスが変化

② 食事の問題

  • 高脂肪・高タンパク質で食物繊維不足の食事
  • カロリー不足(現代女性に多い問題)
  • 精製糖や食品添加物の多い食事

③ 薬の影響

  • 抗生物質:善玉菌にもダメージを与える
  • 胃酸抑制薬、鎮痛剤(NSAIDs)
  • 下剤の乱用

④ ストレス

腸の蠕動運動や消化液の分泌に変化をもたらし、腸の動き全体が低下します。ストレスは腸にとって「見えない敵」なのです。

⑤ 生活習慣

  • 運動不足
  • 睡眠不足
  • 不規則な生活
  • アルコール、喫煙

まとめ:悪循環を断ち切るために

これらの要因は単独で影響するのではなく、互いに絡み合って複雑な悪循環を生み出します。例えば:

ストレス腸の動き低下便秘腸内環境悪化バリア機能低下血糖コントロール不良睡眠の質低下さらなるストレス

腸の不調を根本から改善するには、単に下痢や便秘を薬で抑える対処療法ではなく、生活全体を見直して腸内環境とバリア機能をしっかりと整えていくことが大切です。

次回は、具体的な腸の症状(腹痛、張り感など)の原因と対策についてお話しします。


一緒に「整える」ダイエットで、腸から健康を作っていきましょう

カロリーを数えるより、幸せを数える。